大型膜面アンテナの展望
こんにちは,cosmobloomエンジニアの折居です.
2024年が始まり,数日が経とうとしているところですが,皆さんはいかがお過ごしでしょうか.往々にして1月~3月は一年の中で最も忙しく,気が気でないことも沢山ある訳ですが,明日を信じてやるべきことをやる,書くべきことを書く,ということが大事なのではないかと思います.
さて,所感ですが,2024年は膜面アンテナの通史においても重要な1年となると考えています.今回は,大型膜面アンテナの展望について幾つか予想と今年の目標を立ててみたいと思います.
まず,予想のひとつめは,Caltechの宇宙太陽光発電システムの実証実験を皮切りに,膜面アンテナの重要性が強く認知されるようになることです.
現状考えられることとして,①超小型人工衛星による深宇宙探査,②月,火星における無線電力伝送,③数十メートル級のアンテナによる大容量通信などは,ハイゲインながらも比類なき軽量性・収納性が要求されることから,大型膜面アンテナの構造様式と相性が良く,これらのミッションへの適用が本格的に議論されるようになると考えます.2024年はこの①~③のうちのいずれかから,大型膜面アンテナの実用に至るコンセプトが提示されるのではないでしょうか.
次に,予想のふたつめは,地上系のテンポラリな通信・無線電力伝送の重要性が再認識されることです.大型膜面アンテナは可搬性・携帯性・組み立て性に優れることから,地上インフラが整備されていない地域での活動に大いに貢献し得ると考えます.
最後に,今年の目標について考えます.先述の様な用途での需要に応えるためには,他のアンテナ同様,大型膜面アンテナにおいても,設計に「見通し」を立てられるかが肝要です.
そのためには,❶上位システムの設計要求に対して,設計解を提示するフレームワーク❷「軽量構造力学」と「電磁波工学」の学際研究,❸膜面アンテナの量産を可能にする生産工学,の❶~❸を体系化する必要があることから,今年はこの3点の実現を目標にしたいと思います.
それでは,本年もよろしくお願いいたします.