“良い”とは何か

こんにちは,cosmobloomエンジニアの折居です.

突然ですが,”良い製品”とはどのような製品でしょうか.まず考えられることは,性能を十分に発揮するものが良い製品と言えるのではないか,ということです.一方で,性能を十分に発揮しさえすれば良い製品なのかと言われれば,そうではないような気もしてきます.そこで,もう少し考えてみると,”良い製品”は①設計点における性能を十分に発揮すること,②設計点近傍においても性能が維持されること,の①②を両方満たしていることに気付きます.

この話は少々分かりづらいですが,チームスポーツの選手で例えると,①戦況が整っている状態で持ち味を発揮することはもちろん,②想定外の戦況でも柔軟に対応し,持ち味を発揮する,①②を満たす選手が”良い選手”である,と言うことになります.特定の戦況でのみ持ち味を発揮する選手はチームへの貢献度に波が生まれてしまいますが,オールマイティかつクレバーにプレーできる選手は安定的にチームに貢献することができます.リーグ戦を勝ち抜くためには,このような”良い選手”たちの存在が必要不可欠です.

そのような視点から改めて考えてみると,研究室ベースの成果を社会実装していくうえで「ある宇宙機システムが受け入れ可能な品質を実現できるかどうか」が極めて重要であることが分かります.例えば,設計点における性能は優れているものの,宇宙空間の熱環境や姿勢変更に対して性能の感度が高いコンポーネントは,上位システムにとって受け入れが難しく,社会実装に至らないものになってしまいます.

ここで,膜面展開宇宙構造物の品質は,膜面の”平面精度”や”剛性”と言った特性値に代表され,これらの特性値を最大化するために「どれだけ強い張力を膜面に作用させられるか」が肝要となります.この点において,JAXA宇宙構造物システム研究室/cosmobloomにて主体的に研究されてきた”自己展開膜面トラス”は,従来の片持型の膜面展開構造物に比して大きな張力を作用させることができ,本質的に社会実装との親和性に優れるため,宇宙利用を革新し得る構造様式と言えます.

現在,cosmobloomでは自己展開トラスの社会実装を実現するためのクラウドファンディングを実施中です.もし事業活動にご賛同いただけるようでしたら,ご支援いただけますと幸いです(以下の写真をクリックするとサイトに移動できます).よろしくお願いいたします.

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