解析力学の社会実装?

Koon先生の論文より(http://www.cds.caltech.edu/~koon/presentations/cimms.pdf)

こんにちは.宮崎です.この週末は,普段,建物の中にこもっている自分には珍しく,外に出ていましたが,恐ろしく暑くて,こりゃあ,やばいな,って感じでした.

個人的なことですが,一昨年の夏,前職で懇意にしていた8歳年下の先生が急死され,去年の夏は闘病中だった同い年(というか双子)の妹が他界し,今年の春には3歳年上の大先輩の先生がお亡くなりになり,こんな自分でも,ちょっとは人生について考えるようになりまして,昨日もお墓参りをしながら,少し,考えたりしていました.

さて,昨今は,研究成果の「社会実装」が問われることが増えてきた気がしますが,数学や力学の理論研究を「社会実装」するのは,一見,難しそうな感じがします.ですので,そういった研究をされている研究者の方々は,いろいろ工夫して「社会実装」をされてきているのではないかなと思います.

自分はgeometric mechanics(日本語だと,幾何力学とでも訳すんですかね)が好きで,CalTechのMarsden先生(当時)のグループの研究を勉強したり,日本ですと,Marsden先生のところにもサバティカルで行かれていたことがある,早稲田の吉村先生のペーパーを勉強したりしていました.

15年以上前じゃなかったかなと思いますが,当時,Marsden先生のところでTube Dynamicsの研究をしていたKoon先生が吉村先生のところを訪問されて,講演をされました.私も聞きに行って,面白くてゾクゾクしたのを覚えています.その際,Koon先生が,「これを何かに役立てられるものにしないと,予算を取ってこれないので,企業向けのいい応用先を考えないといけないんですよねえ」,といった感じのことをおっしゃっていて,自分は,「やっぱり,アメリカは大変なんだなあ」と,のんきなことを思っていた記憶があります.

今では,燃料をそれほど多く搭載できない超小型衛星など,燃料消費を少なくしたい宇宙機の軌道設計にtube dynamicsは使われるようになっており,今後,ビジネス利用も含め,月をはじめとする宇宙探査がふううになってくると,tube dynamicsはもっと使われるようになり,「社会実装」されたことになるのだろうなあと思います.その意味では,tube dynnamicsのようなマニアックな理論?でも,こうやって広く使われるようになることもあるんだなあと思います.

それに比べると,NEDAのベースの理論になっていて,geometric mechanicsの例でもある,EM法は,いまだに「そういうやり方もあるんですねえ」という程度の認知しかされていなくて,ちょっと寂しい気がしています.実際,少なくとも,拝啓も含めてちゃんと理解されているのは,日本では吉村先生くらいなのではないかと・・・

ただ,個人的には,理論としても数値計算手法としても面白いと思うので,いつか日の目をみることにならないかなあと思っているところです.その意味では,cosmobloomのCTOとしてではなく,一人の研究者として思うことは,「自分ももう,いつ,いなくなっても不思議はない年齢だし,NEDAのことをよく知っているはずの?cosmobloom社がNEDAをアプリ化して,EM法をはじめとする,NEDAで用いている理論をちょっとずつ広めていってくれると嬉しいなあ」,ということでしょうか.

宮崎 康行

CIO

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