「学術」と言う名の魔術

こんにちは，cosmobloomエンジニアの折居です．

博士課程の卒業要件には，大抵，学術論文を○本以上出版する…などが含まれています．ここで，「学術」は「学問を使った術」であるとすると，博士課程を卒業できるかどうか，ということは
学問を駆使して有用性の高い術を編み出だせるか，ということに言い換えられると思います．

また，初代「はやぶさ」のプロジェクトマネージャーであった川口淳一郎先生は「軌道の魔術師」と呼ばれていたそうです．このように，非常に高度な学術は，魔術の様にも捉えられます．

「学術」が「魔術」であるとしたら，「膜面アンテナ」はまさに「魔法陣」である，と言えます．これは，導体を使って膜面上に「パターン」と呼ばれる紋章を描くことで，エネルギーを送ったり，受け取ったりすることができるからです．

エネルギーを正確に送ったり，受け取ったりするためには，この膜面上に，エネルギーを「搬送するパターン」，「分配するパターン」，「放射するパターン」を描く必要があります．それぞれのパターンには記法があり，正しい場所に正しく記さないと機能しません．そのため，文献から過去に記されたパターンを学び，その使い方を習得する必要があります．

また，電磁波は普通の人間には見ることができません．電磁気学という学術を習得した人にのみ，VNAを通して電磁波のふるまいを見ることができます．つまり，電磁界は魔法使いだけが見ることのできる世界とも言えます．

このように，学術という名の魔法が確かに存在していて，研究者や開発者，すなわち「魔法使い」にだけ，魔法をかけたり，見たりすることが可能な世界がある，ということは大変面白いと思います．