NEXUS

こんにちは,cosmobloomの中村です.

先日,自身と弊社CIOが開発に携わった超小型衛星「NEXUS」が大気圏再突入を迎え,運用を終了しました.これに際し,少しNEXUSの思い出話をしたいと思います.

NEXUSは,日本大学と日本アマチュア衛星通信協会(JAMSAT)が共同で開発した1UのCubeSatで,アマチュア無線帯を使用した高速無線機と小型カメラシステムの実証,およびリニアトランスポンダの運用をミッションに掲げ,2019年1月の打ち上げから大気圏再突入の直前まで約5年間運用されました.運用の前半は高速無線機とカメラシステムの性能評価などをメインに日大が運用し,後半はトランスポンダやSSTVの運用をメインにJAMSATの皆様に運用していただきました.

日大 & JAMSAT NEXUSキックオフミーティングの写真

私がNEXUSプロジェクトに参加したのは学部2年の時で,当時M1だった研究室の先輩に誘われたのがきっかけでした.その時の私は衛星とは違うことをやってみようかなと思っていたのですが,せっかく誘われたんだからと思って,軽くやってみますと言ったことを覚えています.参加してみたものの,思いのほかプロジェクトは先行き不安な感じで,本物の衛星開発についてはまだ何もわからない自分でしたが,その時点でのNEXUSの状況がとんでもなく大変だということだけはわかりました.NEXUSに入った頃の出来事で特に覚えているのが,衛星の仕様書を先生とメンバー全員で,徹夜して書き上げたことです.この日はこの年の自分の誕生日だったということもあり,記憶に残っています.NEXUSのHP上で公開している仕様書は,この時に書き上げた仕様書をベースに内容をボリュームアップさせたもので,今でも見ることができます.

仕様書を書いた日の写真,銀色のPCは恐らく小野さん(CIO)のものです

NEXUSは,基本的に1人につき1サブシステム,という感じで担当が割り振られていたのですが,私は通信系を担当していました.通信系は当時M2だった先輩(誘われた先輩とはまた別の先輩)から引き継いだのですが,最後の最後(3月31日)まで引継ぎ作業を行っていただき本当に申し訳なかったです.引継ぎのために時間を割いてくださった先輩には感謝しかありません.引継ぎを行っていただいた先輩(ないし,NEXUSより前の衛星開発に携わっていた諸先輩方)のおかげで,自分が担当していた通信系開発は,それほど苦労せずに進めることができましたが,NEXUS全体では,衛星内部もプロジェクトとしても本当に問題が山積みでした.BBM統合・EPS再設計に始まり,内部機器干渉によるEM基板再設計・再発注,3回にわたるEM振動試験など,失敗を数えるとキリがありません.それでも,JAMSATの方々や先生にアドバイスをいただきながら自身が4年生の時に無事引き渡し,軌道上で正常に動いたのもつかの間,その後も自分が運用ミスをしてCWを停波してしまったり(その時の切羽詰まった運用記録も残っています,あの時は本当にすみませんでした),ミッション機器の受信設備が整っていなかったりで大変でした.自身よりも上の代の先輩方が卒業された後もやることが山積みで,自分らの代でミッションを終わらせることができるか心配な部分もありましたが,修士卒業間際でなんとかフルサクセスを達成しました.フルサクセスを達成した後も,JAMSATの皆様に運用を行っていただき,国内だけでなく世界中のアマチュア無線家の方々にNEXUSを使って交信いただきました.ありがとうございました.

NEXUS搭載のカメラシステムを使って,最後に地上で撮影した写真

思い返すときついことばかりで大変だったなと思いますが,そのあとの経験も踏まえて改めて感じることは,超小型衛星は個人がシステム全体を見ながら設計・開発・運用を進めることができるぎりぎりの規模感であり,そういった機会・経験はそう簡単に得られるものではないということです.NEXUSプロジェクトに参加し,そういった経験をさせてもらえたことは本当によかったと思います.

最後になりますが,一緒に衛星を開発・運用していただきNEXUSプロジェクトを成功に導いていただいた先輩方,先生方,そしてJAMSATの皆様にこの場を借りて感謝申し上げます.ありがとうございました.

CTO

前の記事

コンサルティング