宇宙空間における無線電力伝送

こんにちは,cosmobloomエンジニアの折居です.

宇宙空間から地上への無線電力伝送,いわゆる「宇宙太陽光発電」は昨今のエネルギー問題の解決手段として注目されていますが,克服すべきことが多々あり未だ実用に至っていません.

一方,宇宙太陽光発電を「宇宙空間」で発電し,「地上」にむけて無線電力伝送する用途に絞らず,宇宙空間における「ある地点」で発電して,「ある地点」に向けて無線電力伝送することとして広く捉えれば,その社会実装の在り方は大きく広がります.

まず,「宇宙空間」から「地球以外の惑星」,例えば月面や火星に無線電力伝送するケースについて考えます.この用途としては,周回衛星からレクテナへの無線電力伝送,基地からモビリティへの無線電力伝送などが考えられます.月面への物資の輸送コストは1kgあたり約1億円と言われており,このケースの宇宙太陽光発電は,より低コストな電力の供給手段になり得ると考えます.

次に,「宇宙機」から「宇宙機」への無線電力伝送するケースについて考えます.この用途としては,マスター衛星からスレーブ衛星への無線電力伝送などが考えられます.現在,複数の宇宙機を連携してミッションを遂行する,新しい深宇宙探査の在り方が模索されており,このケースの宇宙太陽光発電は,より自由度の高い宇宙機の設計を可能にし得ると考えます.

これら2ケースの宇宙太陽光発電において,宇宙構造物工学の観点から共通に特徴的なことは,宇宙セグメントのみならず,地上セグメントについても,小さく収納し,軽く大きく広げることが求められる点にあると言えます.

軽量なレクテナについては,Brownがプリンテッドダイポールアンテナにフィルタ回路と整流器を載せたシンプルなフィルムレクテナを実用化していますが,今後はこのような軽量レクテナをどのように折り畳み,小さく収納するのか,また,折り畳んだレクテナも事前の予測に違わぬ受電量が得られるのか,ということに焦点を当てた研究が必要になると考えます.

cosmobloom

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