超小型人工衛星利用シンポジウムの聴講と感じた危機感
出典:https://aerospacebiz.jaxa.jp/jaxa-smash/
こんにちは。cosmobloomの小野です。
先日の2/27に、X-NIHONBASHI(クロス・ニホンバシ)にてJAXA様主宰のJAXA超小型人工衛星利用シンポジウム2024が開催されました。こちらのシンポジウムではJAXA様が企画しているJAXA-SMASHのご紹介から始まり、超小型衛星の国際戦略・動向、宇宙科学探査ミッション、地球観測ミッション、宇宙環境利用ミッション、衛星バス/システム技術アイディア、ロケットの打上げサービスと幅広い分野において、超小型人工衛星がどのように利用されているか、各登壇者の皆さんからご紹介がありました。
中でも、CSPジャパンの金岡様がご紹介していた国際戦略・動向については、宇宙産業に関わる企業の一人として関心をもって拝聴していました。近年の宇宙利用において、SpaceX社やOneWeb社のような600kgオーバーの衛星が大量に打ち上げられることが注目されていますが、超小型人工衛星の打ち上げ数も過去最高となっているとのことです。また、CubeSatのトレンドとして大型化の傾向にあり、6U以上のCubeSatが今後のトレンドとなると考えられています。低軌道衛星による通信の重要度が明らかになり衛星通信のさらなる発展が見込まれているのですが、中でもCubeSatでの光通信がとても注目されています。相互に光通信を行うCubeSatを地球全体に配置し、世界規模での超高速シームレス通信を低コストで構築しようとしているのです。この構想を現実のものとするために、量産、光通信、エッジコンピューティング、推進系の研究に多額の資金が投入されており、その重要性がうかがえます。
私が印象深く思ったのは、衛星の大量生産に対する意識です。海外ではすでに年間で100機以上の衛星を製造できる設備が複数存在しており、同スペックの衛星を短期間で大量に供給できる体制が整いつつあります。量産を加速的に行うことで、自分たちで定めたルールで産業構造を作り出そうとしています。それを可能にしているのは、国内市場を通り越し、世界に通用する産業を「誰よりも早く作る」という意思があるからだと感じています。日本において超小型人工衛星を製造できる会社はいくつか存在しますが、海外と同規模の量産体制を構築できている会社は有りません。現時点で考えても、大きな差があると感じました。
このような状況にあるのが世界の宇宙産業であり、日本としては置いてけぼりを食らっている状況です。いかにして食らいついて行くのか、存在感を示すのか、本気で考えなければなりません。現場でただ単に悲観しているだけでは何も始りませんし、感じた危機感を何とかして多くの方に認知していただくことが重要と思っています。周りの意識が変わらなければ、「人・モノ・お金」の流れは生まれません。最前線にいる私たちが情報を発信し、少しでも多くの方を巻き込んで、今を変えていかなければならないと感じました。