膜面アンテナのシステム設計

こんにちは,cosmobloomエンジニアの折居です.

膜面アンテナの設計の難しさは「性能」と「制約」を両立することにあると言えますが,これは,①膜面上に周期的にアンテナを配置することの難しさ,②幾何学的制約を満たすアンテナ設計を設計することの難さの①②に分けて考えることができます.

①については,アンテナ素子に折り癖が付くと性能が損なわれる可能性があり,折り線とアンテナ素子が交錯しない膜面形状・折り畳み方・素子配置の組合せについて考える必要があります.

そのうえで、アンテナ素子は①に由来する幾何学的な制約を満たすよう設計する必要があります.特に膜面アンテナの場合,アンテナ素子の大きさは,グレーティングローブの発生条件や収納時寸法などと密接な関わりを持つことから、膜面アンテナの機械的特性と電気的特性の両者に影響を及ぼす重要な設計変数であると言えますが、その値は波長によって概ね定まるところがあり,設計空間を確保するために,この大きさを自在に変えられることが望ましいです。

アンテナ素子の大きさに自由度を持たせるには,アンテナを広帯域に励振させる方法、電気長を迂回させる方法などがあります.このうち,後者の具体例として、中央にスリットを挿入する方法が挙げられます,これは,スリットを挿入することによって電流の経路をコントロールし,励振周波数をシフトするものです.

一方,この手法は自由度と引き換えに,マッチング特性や帯域幅、形状精度に対するロバストネスに少なからず影響を及ぼすことが考えられ,これらの特性について広く勘案する手法について研究する必要があると考えます.