地上検証
こんばんは.宮崎です。cosmobloomのNEDAは膜やケーブル,柔軟な薄肉のブームなど,いわゆるゴッサマー構造(gossamer structure)と呼ばれる,きわめて柔軟な構造の解析を得意としますが,ゴッサマー構造を宇宙で実現しようとするとき,「地上検証」が問題となってきます.
通常,展開構造物を打ち上げる場合,打ち上げ前に何らかの地上試験を行って,軌道上で適切に展開して所望の形状になることを確認(検証)する必要があります.しかし,ゴッサマー構造の地上検証は容易ではありません.それは,ゴッサマー構造は重力や大気抵抗等の影響を受けやすく,地上と宇宙とではその挙動が大きく異なるからです.大型のゴッサマー構造は特にそうです.
小型であれば,航空機に載せてパラボリックフライトをすることで微小重力環境下で試験ができますし,真空チャンバーに入れることで真空環境での試験が可能です.しかし,微小重力環境かつ真空環境で試験をするのは容易ではないですし,ましてや,10m級あるいはそれ以上の大型構造物になってくると,そもそも航空機や真空チャンバーに入らないので,打ち上げ前の検証はかなり難しくなります.
そのため,例えば全体をモジュール構造にして,1モジュールだけを検証し,その結果から全体構造の挙動を予測・評価する,という考え方がありますが,その場合も,じゃあ,1モジュールで何を検証すればいいのか,という問いに答えるのはそれほど易しいことではないと思います.
個人的には,できれば,数値解析での予測を主として,地上検証は「プラスアルファ」とするような開発が世の中で認められるようにしたいと思っていますし,そのためにもDigital Twinを実現したいと思っていますが,cosmobloomとしては,まずは,数値解析を強化することでどこまで試験による検証の負担を楽にできるのか,そもそも,どういうフィロソフィーで数値解析と試験検証との役割分担をすればいいのか,といったあたりを示していければと考えています.
宮崎 康行