cosmobloomについて
私たちcosmobloomは、日本大学理工学部航空宇宙工学科宮崎研究室(現JAXA 宇宙構造システム研究室)を前身とした、膜やケーブルといった極めて柔軟な構造(以下、ゴッサマー構造)を用いた宇宙構造物に係る解析・設計・開発を担う企業です。
私たちのコアはゴッサマー構造の解析技術です。研究室時代に開発をした非線形弾性動力学解析コードNEDAは、2010年にJAXAが打ち上げた小型ソ-ラー電力セイル実証機IKAROSの膜面展開シミュレーションに利用され、ソーラーセイルを主推進装置として利用する世界初の惑星間航行の成功に貢献した実績あるツールです。
また、cosmobloomの立ち上げメンバー全員が超小型人工衛星の設計・開発・製造・試験・運用の一連を経験しています。実機の開発経験は、製品設計においてその知見を反映することができ、より品質の高い製品の提供を可能にします。このようなメンバーで構成されていることも私たちの強みです。
私たちcosmobloomはコアであるNEDAと宇宙機開発の経験を用いて、ゴッサマー宇宙構造物の解析・設計・開発を検討しているお客様に実現可能なソリューションを提供します。そして、企業活動を通して私たちの企業理念である、「常に挑み、ともに作り、すべての人が希望を持てる世界の実現」に向けて取り組んでいきます。
宇宙構造システム研究室
cosmobloomの前身である宇宙構造システム研究室は1991年に日本大学理工学部の構造材料系の研究室として中村研究室が立ち上がったところから始まります。
研究を開始した当初より、ゴッサマー構造の挙動について研究を行ってきており、その中で宮崎がNEDAを開発しました。NEDAは2010年にJAXAが実証した小型ソーラー電力セイル実証機IKAROSの膜面展開シミュレーションで利用され、その有効性が示されています。
その他の研究としては、インフレータブルチューブを用いた展開構造、スピン展開膜、自己伸展ブームを用いた平面トラスや三次元トラス等の設計・開発・評価を行っており、様々な展開構造の設計技術も発展させてきました。現在は、ゴッサマー構造を応用した大型膜面アンテナやスターシェードシステムなど、将来の大型宇宙構造物の実現に向けた研究を行っています。
また、昨今では様々な大学で超小型人工衛星が開発されていますが、当研究室では、黎明期であった2000年代初めより、学生が主体となって超小型人工衛星の開発を行ってきました。現在までで、SEEDS(2006年)、SEEDS-Ⅱ(2008年)、SPROUT(2014年)、NEXUS(2019年)の計4機の超小型人工衛星を開発・運用しています。現在も、自己展開構造を用いたレクテナの宇宙実証に向けた実機開発に参画しています。
上記に示したように理論、計算、実験、開発、実証のすべてを行っているのが、私たちcosmobloomの前身である宮崎研究室です。
ゴッサマー構造
膜やケーブルといった薄くて軽い柔軟な部材から成り立つ構造をゴッサマー構造と呼びます。ゴッサマー構造は軽量性、展開性、収納性に優れ、古くから宇宙機の構造様式として注目されていました。
現在、宇宙への輸送手段はロケットのみであり、一度に運べる質量や体積には限界があります。ゴッサマー構造はその軽量性と収納性から、小さく折りたたんで宇宙空間に運ぶことができる利点を有しています。大型宇宙構造物を実現するためには、ゴッサマー構造を用いることが必要不可欠であり、新たな輸送手段に置き換わったとしても、輸送コスト削減に対して有効な構造様式です。
代表的な例としては、電波天文衛星HALCAや小型ソーラー電力セイル実証機IKRAOS、技術実証衛星Ⅷ型きく8号などがあります。将来の構想に目を向けると、恒星観測のスターシェードで用いられるオカルタや、数km級の宇宙太陽光発電システムSSPSなどの構造物等が構想されています。
ゴッサマー構造は宇宙機の構造様式として注目されていますが、その実現は容易ではありません。構造の柔軟さゆえに空気や重力などの影響を強く受けるため、地上実験が難しく、宇宙空間での挙動を予測するためには数値シミュレーションが不可欠になります。しかし、その数値計算も解くべき運動方程式が硬い運動方程式となるため、数値不安定性が高くなり、計算は容易ではありません。
以上のように、宇宙構造物としてはとても有効な反面、様々な技術的課題があるため、現在でも地上実験の方法や数値計算の方法について世界各国で研究がなされています。
NEDA
ゴッサマー構造は展開性、収納性、軽量性に優れているため、古くから宇宙機の構造様式として注目されてきました。しかしながら、その挙動を予測することは難しく、従来のFEMでは数値発散を起こしやすいものでした。この問題を解決すべく開発されたものが非線形弾性力学解析コードNEDA(Nonlinear Elasto-Dynamic Analysis code)です。NEDAの大きな特徴は、エネルギ原理、運動量原理、角運動量原理の3原理を満たしながらシミュレーションできることにあります。
従来のFEMでも、 理論上は3原理が満たされますが、それは、無限小を扱える理論上に限ります。実際の数値計算では、数値は有限であり無限小は存在しないため、3原理を満たしながらシミュレーションすることができません。数値発散が起こることも、3原理を満たせないことに起因します。
一方で、私たちが有するNEDAは構造保存型解法の1つであるエネルギ・モーメンタム法(EM法)を採用し、3原理を満たしながらシミュレーションすることが可能となっています。EM法は従来のFEMが扱っていた運動方程式から、無限小という概念を有限の微小増分に置き換え修正することで、シミュレーションにおいても3原理が満たすことができます。
以上のように、NEDAはEM法を用いることでシミュレーション中の高い数値安定性を実現しています。この高い数値安定性のおかげで、ゴッサマー構造のような幾何学的非線形性が高い構造の挙動を安定して計算することができます。
代表挨拶
私たちは、これまでの研究で培ってきた柔軟構造物の解析・設計ノウハウをコア技術とし、未来の宇宙構造物実現に向けた事業を展開しております。創業のきっかけとなる学生時代、研究室ではロストテクノロジーという言葉がよく飛び交っており、研究室で取り組んできた価値ある研究をどうにか社会に還元できないかと考えていました。cosmobloomの立ち上げという形で、この思いを叶えることができることを非常に嬉しく思います。cosmobloomという社名は、宇宙(cosmo)で展開構造が開く様子を花が咲く(bloom)と表現した名前です。常に美しくをモットーに、今後の宇宙開発で多くの花を咲かせられるよう、日々精進して参りたいと思います。
株式会社cosmobloom
代表取締役社長 福永桃子
会社概要
会社名 | 株式会社cosmobloom |
英文社名 | cosmobloom Inc. |
代表取締役 | 福永桃子 |
従業員数 | 4名 |
所在地 | 東京都大田区南六郷3丁目10番16号 六郷BASE 229 |
事業内容 |
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アクセス
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〒144-0045
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