デオービット装置

cosmobloomは3Uや6Uといった超小型人工衛星に搭載可能な、世界最小クラスの膜面式デオービット装置を開発しています。デオービット装置は人工衛星等の軌道離脱を目的とした装置です。私たちは独自の解析技術をもとに世界最小クラスの膜面式デオービット装置を提案します。

世界最小クラスの膜面式デオービット装置

これまで様々なデオービット装置が検討されていましたが、収納時のサイズや質量のリソース問題からミッションの障壁になってしまうことが多く、特に、それらのリソースが少ないCubeSatクラスの超小型人工衛星への普及には至っていません。

開発中のデオービット装置は、収納時は81mm×96mm×25mmの容積に収まるほどの小ささであり、超小型人工衛星のミッション機器の搭載を阻害しない大きさ(0.25Uサイズ)を実現しています。また、世界最小クラスの収納容積を誇りつつ、展開時には2.86m²の面積を展開することが可能です。これだけの面積を展開することで従来品より大きな大気抵抗を受けることができ、3Uや6Uといった大きさの超小型人工衛星を、太陽活動に依存することなく廃棄軌道へ投入することができます。

また、過去に開発された0.25Uサイズのデオービット装置は膜面の展開形状が四角形であり、衛星本体に取り付ける際に位置の制約が存在します。これに対して開発中のデオービット装置は三角形の膜面を取り付けるため、より自由な取り付けを可能にしています。

なぜデオービット装置が必要なのか

世界の宇宙利用が加速化していく中で、様々な事業者が低軌道衛星コンステレーション計画の実現に向けて活動しています。この活動には宇宙を利用した新しいサービスが誕生する良い側面がある反面、宇宙ゴミが増えるという悪い側面があります。

宇宙ゴミとは、運用が終了した人工衛星、故障した人工衛星、ロケットの上段、ミッション中に放出した部品、爆発や衝突により発生した破片などを指します。コンステレーション計画が増加するということは、それだけ多くのロケットや人工衛星打上げることを意味するので、結果として宇宙ゴミの増加につながるのです。

そもそも、宇宙ゴミが問題となるのは、運用中の人工衛星やロケットとの衝突の可能性があるからです。運用中の人工衛星などが宇宙ゴミと衝突して故障しては元も子もありません。また、宇宙ゴミ同士が衝突することで宇宙ゴミが爆発的に増加し、将来、宇宙活動を継続できなくなる可能性もあるため、無視することができない問題となっています。

この問題を解決するには、ごみを減らすこと、生み出さないことが重要となります。弊社が開発しているデオービット装置はいわゆる、ゴミを生み出さないための装置です。新規に打ち上げられる人工衛星に搭載し、運用終了が近づいたら利用します。デオービット装置を使うことで衛星が自発的に廃棄軌道に移動することが可能になり、宇宙ゴミの発生を防ぐことができるのです。

出典:JAXA