大型膜面アンテナ:その2

こんにちは,cosmobloomエンジニアの折居です.

前回に引き続き,大型膜面アンテナの実用化について考えます.例えば,マイクロストリップアンテナの様なアンテナは,多層基板にアンテナ素子のパターンを印刷して製作するため,非常に軽く薄型に作ることができます.ここで,マイクロストリップアンテナの構造様式を膜面などで再現できれば,もっと軽いアンテナを製作することが可能です.

つまり,二枚の膜面を用意して,一枚をGNDのレイヤーとして用いる,もう一枚の膜面をアンテナのレイヤーとして用いる,と言う工夫によって,膜面と膜面の間にある空気の層を基板として利用することができ,膜面で基板の構成を再現することが可能となります.この場合,面密度は多層基板を使う場合に比べて圧倒的に低くなります.

一方,膜面アンテナは基板のように頑丈でないため,アンテナ性能が変動しやすい懸念があります.特に,軌道上外乱や熱の問題には対処が必要です.加えて,これらの作用によって二層の膜面間の相対距離が変化してしまうと,アンテナの性能が大きく変動してしまうことが考えられます.

したがって,厳密にアンテナの性能を見積もる,あるいは設計を改善していくためには,膜面アンテナと言うものを軽量構造力学と電磁波工学の両方から考えてやる必要があるのですが,柔軟構造物のパラメータを取り入れたアンテナ設計は,これまでにあまり取り組まれていないように思います.

そこで,我々は,軽量構造力学と電磁波工学の複合領域で膜面アンテナを設計する手法を具象化したいと考えており,この検討を進めているところです.