おひさま
![](http://cosmo-bloom.com/wp-content/uploads/2025/01/OHISAMA.png)
こんばんは,cosmobloomの中村です.
現在,宮崎研究室では経済産業省が進める無線電力伝送実証衛星プロジェクト「OHISAMA」にて,ISAS 田中研究室や金沢工大 伊東研究室と共同で,軽量展開型膜面レクテナの開発に取り組んでいます.
OHISAMA(On-orbit experiment of HIgh-precision beam control using small SAtellite for MicrowAve power transmission)は,宇宙太陽光発電システムの要素技術である「高精度ビーム形成及び方向制御による超長距離無線電力伝送」を実証する小型衛星です.具体的には宇宙で発電した電力を地上の受信局群に向けて送電し,ビームパターン計測やビーム方向制御の実験を行います.また,OHISAMA衛星から小型宇宙機(6U程度の大きさで,プローブと呼んでいます)を放出し,OHISAMA衛星とプローブ間での電力伝送実験も行います.我々が開発しているのはこのプローブに搭載される受電装置(=レクテナ)です.
レクテナは自己展開膜面トラスで構築されており,収納時1Uの状態から展開時1辺1mの三角形膜レクテナアレーを自己伸展ブームにより展張します.自己展開膜面トラスの宇宙実証はこれまで行われておらず,今回が初めての実証です.また,宇宙機間の無線送電実験も世界初の実施となります.この実証を足掛かりに,将来的には月面でのレクテナ構築やゴッサマー構造のSSPSへの適用といったSSPS周りのことだけでなく,自己展開膜面トラスの宇宙利用の拡大につなげたいと考えています.
OHISAMA関連の最近のトピックとしては,先々週に金沢工大にて,レクテナの電気的性能を評価する試験を行わせていただきました(金沢工大のニュース記事で紹介いただいています→記事リンク).現在はレクテナが設計どうりに動作しているか,計測データの評価を行っているところです.
ブログでは,現時点で上記の結果等についてあまり触れることはできませんが,これからいろいろとうまくいって(開発が無事終わりモノを引き渡して,ロケットの打ち上げが成功して,衛星も軌道上で動作して,送電パネルも所望の電力を送ることができて,レクテナがきちんと展開して,レクテナが想定通りに受電して),軌道上実験が終わった後に,あの時はこんなことがあった,と,このブログで報告できる日がくればいいなと思います.そのためにも(できることはものすごく限られているかもしれませんが)自分がやるべきことに粛々と取り組んでいきます.