膜面上の伝送線路

こんにちは,cosmobloomエンジニアの折居です.

前回のブログでは,同軸ケーブルなどの伝送線路についてお話しました.今回は二層の膜面を使った伝送線路の設計方法についてお話しようと思います.

伝送線路のうち,マイクロストリップラインと呼ばれるものは,アンテナ同様,膜面のうち一層をGND,もう一層を線路として用いる工夫により,軽くてコンパクトにすることができます.このとき,マイクロストリップラインをどのように設計するか,そして性能をどのように確かめるか,ということが重要となります.

まず,マイクロストリップラインの設計において最も重要なことは,特性インピーダンスを設定することです.大半の高周波デバイスは,親和性も考えて特性インピーダンスが50オーム,もしくは75オームに設定されているため,マイクロストリップラインもこれに合わせることが多いです.

ここで,特性インピーダンスを設定すると,近似式から寸法諸元を決めることができます.この近似式については,適用範囲や用途に応じて,様々なものが提案されています.

次に,製作したマイクロストリップラインが狙った通りの特性インピーダンスになっているかどうかを確かめるために,VNA(Vector Network Analyzer)と呼ばれる機械を使用します.VNAは,目に見えない電磁波の振る舞いを可視化できる,魔法の様な機械です.携帯式の安価なものだと数万円,高い周波数まで対応しているものだと数千万円以上するものもあります.

VNAには様々な可視化機能が用意されているのですが,そのひとつに,被測定物において発生する入射波と反射波の比率を可視化できる機能があります.この機能を用いることで,狙った特性インピーダンスと,実際の特性インピーダンスとのずれを確認することができます.

最後に,結果を踏まえて工程をイタレーションすることにより,マイクロストリップラインが完成します.このように,”設計する技術”と”性能を確認する技術”を通じて,先人の知恵と工夫を感じられることが,マイクロストリップラインの設計における醍醐味だと思います.

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