Breakthrough Initiative

こんにちは.cosmobloomの宮崎です.

9月12日(火)、13日(水)に、Breakthrough Initiative(BI)と東大深宇宙探査プログラムとが主催する、”Large area structures & light“(光と構造と宇宙探査)というシンポジウムが東大の柏キャンパスで開催され、これに参加してきました。「講演をしませんか?」というお誘いを受けて、流されるままに?参加して、”The Future of Space Exploration using Deployable Structures in Japan: Challenges and Opportunities”というタイトルでkenote speechをしてきたのですが、参加してみたら、keynote speech、参加者の自己紹介、BIの活動の紹介、グループディスカッションで構成された、シンポジウムというよりはワークショップ形式の、こじんまりとしてアットホームな、すごく楽しい会でした(しかも、参加者全員、ホテルや夕食が無料という会で、「BIってお金持ちなんだなあ」と下世話なことを思ったり)。

個人的には、CALTECHでSSPS(宇宙太陽光発電システム)のプロジェクトをやっているHarry Atwater先生と会っていろいろ話ができたのが収穫でした。CALTECHのSSPSのプロジェクトでは、構造関係はPellegrinoさんが、アンテナ関係をHajimiriさんが、太陽電池アレイはHarryさんが担当していますが、先日、SSPSの実験衛星SSPD-1を成功させたことが記事になっていたので、気になっていたところでした。ですので、CALTECHのSSPSの状況を直接、Harryさんから聞けたのはラッキーでした(Harryさんも、「日本のSSPSがどうなっているかを知りたくて、このシンポジウムに参加したんだ」っておっしゃってました。SSPSも結構、まじめに競争する時代がやってきたのかなと)。

BIは「Are we alone? Are there habitable worlds in our galactic neighbourhood? Can we make the great leap to the stars? And can we think and act together – as one world in the cosmos?」といったことを明らかにすることお目指していて、太陽系から最も近い恒星系であるケンタウルス座α星のハビタブルゾーンを16Uの超小型宇宙望遠鏡衛星を使って干渉観測する、シドニー大学らによるTOLIMANプロジェクトを支援したり、ソーラーセイルの開発を支援したり、そのソーラーセイルを使って数cmの探査プローブをケンタウルス座α星に到達させようというstarshotの開発を支援しています。

で、Harryさんはそのstarshotを担当されていて、シンポジウムではstarshotについて紹介するプレゼンをされました。starshotは、現時点ではできないですが、近い(ちょっと遠い?)将来、技術的に可能になるかもしれない?ので、「ちょっと話を聞いてみよう」という程度の気持ちで聴講したのですが、面白くて、starshotが飛んでいる姿をちょっと妄想していました。

それにしても、SSPS、系外惑星、ソーラーセイル、となると、まさに自分たちがやっていることであって、「HarryさんやBIともっと仲良くなりたいな」と思った2日間でした。

系外惑星については、starshadeという、直接撮像のコンセプトが提案されていますが、まだ実現に至っていません。starshadeは、恒星系を撮像する望遠鏡衛星と、恒星からの光を遮断するためのオカルタとがフォーメーション・フライトをすることで、系外惑星の直接撮像(分光観測)しようとするもので、系外惑星の大気成分など表層を詳細に明らかにすることが期待されています。starshadeを実現するには、高精度なフォーメーション・フライト技術、形状精度の高い検量展開構造の2つが必要で、展開構造を研究している人間にとっては、勉強の最適な題材になるかと思います。ちなみに、左上の画像は、私たちが提唱している、マイクロ衛星2機でstarshadeの技術実証と系外惑星付近のデブリ円盤を観測しようというミッション「Euryops」の想像図です。

こういう、「まだ誰もできていないこと」の実現を目指すのは、”騎乗の空論”で終わっては寂しいですが、実現への道(技術ロードマップと技術以外のロードマップ)を考えて、一歩一歩前へ進んでくことができると、やりがいがあるだろうなと思いますし、cosmobloomでもそういったことをできればなあと思っているところです。

宮崎 康行