「三位一体」となってものづくりをする :その②
こんにちは,cosmobloomエンジニアの折居です.
前回は,技術者が用いる数値解析ソフトウェアに「マネージャ」や「職人」の思いを載せられるようにして,ものづくりに関わるすべての人たちのツールを作り出すことができるのではないか,というお話をしました.今回は,そのうち「マネージャ」が数値解析ソフトウェアとどのように関わるのかについて,考えていきたいと思います.
「マネージャ」の役割として,設計の初期段階,すなわち「概念設計」の段階において初期形状を与えることが挙げられます.そして,初期形状を与えるときに最も重要なことは,「これはいける」という見通しが立てられるかどうか,すなわち手戻りが生じない様な初期形状を与えられるか,ということになります.
設計上流において,手戻りが生じない設計をあらかじめ検討し,設計することを「フロントローディング」と呼びますが,このフロントローディングにおいて重要なことは,どの設計変数が,どの特性に作用していているのか明らかにすることだとと考えます.
そして,これを明らかにするためには,「独立な設計変数」と「従属な設計変数」,「グローバルな設計変数」と「ローカルな設計変数」をそれぞれ定義する必要があります.しかし,この作業は容易でなく,四苦八苦,試行錯誤しながら前に進めていくことになりがちです.
ここで「四苦八苦,試行錯誤をどれだけ効率的にこなせるか」と言うことについて,コンピュータのマシンパワーが非常に頼りになります.コンピュータは苦しみを感じない(今のところ?)ので,膨大な検討をコンピュータに任せてしまうことが可能です.
ここで重要なことは「いかにコンピュータに良質な失敗をさせるか」であると考えます.沢山の失敗例を生成することで,私たちはどう設計すれば上手くいくのか,あたかも数々の失敗を重ねてきたベテランの様な視座が得られ,成功を予見することができます.
つまり,「これはいける」という見通しが立てられるかどうか,ということは,「こうすれば上手くいく」という原理を言語化できるか,ということに言い換えられると考えます.そのためのツールとして,数値解析ソフトウェアとマシンパワーの組み合わせが有用であると考えます.