形状精度

こんばんは。cosmobloomの宮崎です。

ケーブルや膜、柔軟なブーム等から成る、いわゆるゴッサマー宇宙構造物は、柔軟性やその素材の材料特性ゆえに、形状精度を高めることが難しく、今のところ、太陽電池アレイなど、形状精度要求が厳しくないものに使われることが多いです。メッシュアンテナのように、メッシュは柔軟であっても、その支持構造がそれなりに剛性が高いものであれば、ある程度、精度を高くすることが可能ですが、全てが柔軟性の高い軽量な構造であると、高精度なものをつくることは容易ではありません。

というよりも、そもそも、精度の範囲を示す(「この構造物の形状精度はこれくらいですよ」と具体的に数字で示す)ことすら難しく、かなりザックリとした値にならざるを得ず、それなりの精度要求のある構造物には適用しにくいのが現実です。

もちろん、最近では、パラボラアンテナや平面アンテナなどの面状のアンテナに用いようとする動きは海外でも出てきていますが、実際に訪ねて話を聞いてみると、結構、苦労している感じがありました(「どうやっているんですか?」って質問しようと思っていたら、逆に質問されてしまいました)。

cosmobloomが目指しているのは、膜面アンテナをはじめとする高精度なゴッサマー宇宙構造物であり、世界に先んじて、(低リソースで)高精度なものを実現したいと思っているところで、自分自身、科研費等による支援のもとで、高精度ゴッサマー宇宙構造物の設計手法を研究しているところです。

最近の話ですと、東工大の中条先生がリーダーで進めている超小型ソーラーセイルの研究・開発では、従来に比べるとはるかに高精度なソーラーセイル構造の実現を目指していて、私の研究室の大学院生が研究しています。こういった研究の成果もcosmobloomで社会実装してきれば楽しいだろうな、と思っています。

ということで、のんきなことを書いてしまいましたが、先日のSchTechでも精度の高いゴッサマー宇宙構造物を目指した研究が出てきているので、うかうかしていられないな、というところです。

宮崎 康行

CIO

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