ソーラー電力セイルIKAROSの運用終了

こんばんは。cosmobloom(CB)の技術顧問の宮崎です。

ISASのウェブリリースにあった通り、2010年5月21日に打ち上げられ、世界初のソーラーセイルによる惑星間航行に成功した小型ソーラー電力セイル実証機IKAROSの運用が終了しました(このウェブリリースの文章は森先生が書かれたんですかねえ? 森先生の想いが伝わってきます)。

久しぶりに、昔のファイルをあさってみたら、いろいろ懐かしい写真や動画、データやプレゼン資料が出てきて、懐かしくなりました(セイル展開後の運用室でのセイル構造系関係者の写真、みんな若い!)。

IKAROSの成功は、海外の宇宙構造物研究者、特に、展開構造や柔軟構造の研究者には衝撃的だったはずで、14年前のSDM(いまのSciTech)での川口先生の基調講演やIKAROS関係者の発表、best paper awardの受賞などが思い出されます。この成功が、その後の海外のソーラーセイルの研究・開発を盛り上げたことは確かかなと思います。

その後、残念ながら、日本ではソーラーセイルは打ち上げていませんが、上記のウェブリリースにも書かれている、科学大の中条先生をリーダーとする超小型ソーラーセイルPIERISの打ち上げを2027年度に予定しており、その後もソーラー電力セイルによる本格的な深宇宙探査を中条先生が中心になって目指しているので、楽しみです。そのPIERISのセイル構造の開発や、上記のウェブリリースに書かれている、外惑星探査機OPENSの薄膜太陽電池パドルのには展開・展張解析はCBがやっているので、CBには企業の立場でこういった膜面宇宙構造物の発展に寄与していってほしいなと思っているところです。

などと、他人事のようなことを書いてしまいましたが、自分も森先生や中条先生、CBのみんなをはじめ、いろんな関係者の皆さんと一緒に頑張っていこうと改めて思っているところです。いま、個人的には、展開構造だけでなく、軌道上での構造物の組立や製造を含めた、超大型の宇宙構造物の構築法について検討を始めているのですが、14年前のプレゼン資料には、超大型宇宙構造物の実現を目指します、というようなことが書かれていました。「14年前も同じことを考えていたんだなあ。だけど、実現できていないなあ」と、ちょっと悔しい思いもあるので、引退するまでに、せめて、超大型宇宙構造物実現の足掛かりはつくりたいなと思います。

宮崎 康行

CEO

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