SBIR制度をご存じでしょうか

こんばんは。cosmobloomの小野です。
先月からたくさんの補助金申請書を書いているこの頃ですが、皆さんは、SBIR制度というものをご存じでしょうか。実は、今月の5月14日から、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(通称:NEDO)から、研究開発型スタートアップ企業などの研究開発活動を支援するための補助金「SBIR推進プログラム(一気通貫型)」の公募が始まりました(連結型の公募は終了しています)。今回はこのSBIR制度について簡単にご紹介しようかと思います。
SBIR制度は、スタートアップ等による研究開発を促進し、その成果を社会実装することで日本のイノベーション創出を促進するための制度です。これと同時に、革新的な技術を社会実装していくことで日本がが直面する様々な社会課題を解決に導くことも目的の1つとなっています。実は、応募者が好き勝手に研究開発を行うものでは無く、政府が取りまとめた各分野の技術戦略に基づいて、所管の省庁から研究課題が設定されます。この研究課題に対する基礎研究から事業化までの切れ目ない開発を行うことで、成果の社会実装の実現に結び付けることに主眼を置いています。そのため、開発段階に応じたフェーズ(1~3)を設定し、開発の進捗に応じた継続的な支援を実施しています。
フェーズ1では技術開発項目の概念検討(PoC)や実現性調査(FS)を行い、開発コンセプトを作り上げます。フェーズ1の開発が完了した段階で、ステージゲートと呼ばれる審査があり、これを通過することでフェーズ2に移行し実用化開発がスタートします。そして再度のステージゲートを通過することで、フェーズ3の大規模実証、もしくは、参画省庁からのトライアル発注等の事業化準備支援を実施することができます。SBIR制度は出口目標を設定しており、フェーズ3が完了した後は、政府調達か民間市場での事業を展開することになります。
SBIRの技術開発テーマは参画省庁事に設定されており、宇宙産業に関するテーマは経済産業省より提示されています。提示されるテーマは、内閣府が策定した宇宙技術戦略に基づいており、幅広い技術シーズが対象となります。先輩企業としては、スペースデブリ問題に取組むAstroscale社、超小型人工衛星を開発するArkEdge Space社、宇宙環境利用・回収プラットフォームを開発するElevation Space社など、多くの企業がSBIRに採択されています。
多くの先輩企業が応募し採択されているSBIRですが、cosmobloomとしても活用することを考えています。宇宙技術戦略では、宇宙を活用したNTN(Non Terrestrial Network)の実現に関連する技術、宇宙太陽光発電に通じる大規模構造の構築に関する技術、衛星の発電能力を大幅に向上させる高収納性・軽量性を有する太陽電池パドルの実現に関する技術が重要とされています。cosmobloomは大きな平面や立体を小さく折り畳んで収納し、展開する技術を持っているのでこれらの技術課題に、応えることができると考えています。具体的な内容については言えませんが、事業に関連した内容での応募に向けて取り組んでいるところです。
SBIR制度は政府として主導している政策ですので、技術面と事業化の観点でしっかりと審査されることになります。ですので、SBIRに採択されることは、取り組んでいる事業が国として支援する価値のある事業であるという、言わばお墨付きをもらえることになります。そのため、今後の資金調達においても有利になるなどスタートアップにとってメリットの多い補助金となっています。とは言え、採択されなければ意味が無いのでまずは申請書の提出に向けて頑張っていこうと思います。
小野 弘幸