スペースデブリと展開膜面構造物

こんにちは.cosmobloomの中村です.

今日は弊社で取り組んでいる展開構造物開発の一例として,ドラッグセイル(デオービット用展開膜構造物)をご紹介します.

ドラッグセイルとは,近年問題となっているスペースデブリ(宇宙ゴミ)に対する解決策として提案されているものの一つで,人工衛星の運用終了後に大きな膜面を展開し,空気抵抗を増やすことで大気圏への突入の短縮をはかるものです(左の絵のようなものになります).

ご存じの通りスペースデブリは年々増加しており,今後も衛星コンステレーションの活用等、宇宙開発・利用の拡大が見込まれる中で,デブリ問題に本格的に取り組むことが必要となっています.これまで,低軌道衛星の軌道離脱の目安は,ミッション終了後25年以内と国際的なルールで定められていました.しかし,2024年以降,これを5年以内に廃棄軌道に移行するようにと期間が大幅に短縮されることが発表され,業界ではちょっとした話題となりました.

ここで問題となるのが,CubeSatのような小さな衛星の運用後における軌道離脱・廃棄です.化学推進系を搭載している大きな衛星であればスラスタを吹いて容易に軌道離脱できるのですが,リソースが限られている小さな衛星にとって,そのような推進系を搭載することは難しく,低軌道において5年以内に確実に軌道離脱を行うというのは,それなりに難しい要求となります.

そこで我々は,CubeSatや超小型衛星に搭載可能なドラッグセイルの開発に取り組んでいます.軌道離脱の手段はドラッグセイルの他にもいくつか提案されていますが,前述の通り,質量や容積,電気的リソースが限られている超小型衛星にとっては,ドラッグセイルが最適な手段だと我々は考えています.また,ドラッグセイルも様々なものが提案されていますが,cosmobloomとしては,現存のものよりもさらに低リソース(質量・容積・電気)でかつCubeSatや超小型衛星に搭載しやすく,ユーザーのミッション遂行の妨げにならない使い勝手の良いものを提供したいと考えています.

ドラッグセイルに関しては,検討状況等について,今後ブログでもお知らせできればと思います.ドラッグセイルを衛星に載せたい方,ご興味のある方は下記リンクよりお問い合わせいただけますと幸いです(ドラッグセイル以外の内容も受け付けております).

cosmobloomお問い合わせフォーム

技術顧問

前の記事

構造保存型解法